瓦乍籠の詭弁録

喃多哩 唖里玖の創作雑記

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

おおくのしまじま、うさぎ島

かつて地図から消し取られた島があった。 砂のけしゴムでざりざりと削られたその島には、 マスタードのガスが充満していた。 そこで働く人は、ようやく制服が着慣れたころの、 若い人たちばかりで 何を作っているのかも分からず ただ、言われるがままに作っ…

したをだしたいじん

かがくはちからだ、あっとうてきだ はがねのぼでぃにありったけのちからをつめこんで かがくはちからだ。あっ、とうてきだ すべてをおおいつくすよな、ねつのひかりがつつみこむ かがくはちからだ、あっとうてきだ すべてのちからをうばわれて、なめくじみた…

ちゃいろいおべんとう

おれはちゃいろいおべんとう 地味こそ滋味だ 心臓だけは真っ赤なプチトマトで出来ている いっしょうけんめいのなれの果て ふたが開けられるのをじっとまっている 腹時計のなる音に耳をすまして さあ今日も顔をほころばせて きみが口いっぱいほおばるのを眺め…

拝啓、旅をする木

アラスカのおおかみ ずっと眺めていた、海の向こう岸 ずっと眺めていたかった 切り立った崖に深く、深く切り刻まれたクレバスのむこう その先を見るなら、今しかない …そう、今しかないのだ 犬かきで冷たい海を泳ぐ その冷たさに思わず目が眩みそうになるが …