多感作用と誰が為の共感

萊草唳の創作雑記

唱歌「原爆の唄」

原子の欠片

水は燃え、躰は朽ちる

科学は名を貶し、悪意の徴

私は必死で拾い集めた

想いの欠片をただただ、

拾い集めた。

 

ようやっと科学の実は

科学の実は結実し

私は今ここに立ち

何をかを考える

 

犠牲になりし

命の咆哮は

嘆きの咆哮は

今では花の香に紛れ

かすかにその痕跡を遺す。

花の芳香とともに。

HIROSHIMA原文

広島に核爆弾が落とされた

水蒸気爆発とともに、

科学の知識の種があちらこちらにばら撒かれた

私はそれを必死で拾い集めた

開拓者の精神を以て、ただただ拾い集めた。

そうしていくうちに、

ようやっと科学の実は結実した。

私は今ここに立って何を考える

 

それは、犠牲になってしまった人の

命の咆哮であった。

今では花の香に紛れ

かすかにその痕跡を遺すのみである。

いつでもどこでもおたすけスーパー

HELLOHOLLOW!  空っぽのスーパー

このスーパーは24時間、開いている

哀しみを湛えたひとびとが吸い込まれていく

あの人が好きだったもの、なんだっけね

あの人がいつも食べていたもの、あゝ思い出した。

あの人との思い出でかごをいっぱいにして

泣き笑いになるような表情で店をあとにする。

店はいつも空っぽ、少しひんやりとするくらいには

どうか来てご覧、この空っぽの中にある温かさを

私たちはいつも、あなたのお越しをお待ちしております。

 

 

雪滲み入る、隣人愛の温かさ

雪が降っていた

凍えるような人々を縮こませる厳冬の雪

その中に、顔を雪まみれにしながら微笑む2人の姿があった。

白いドレスの女と、タキシード姿の男

この日じゃないといけないんです。

本当に、2人の記念日としては

天気のコンディションは最悪最低。 

でも2人はお互いの顔を見、

愛おしそうに微笑むのだった。

 

ワタシハシッテイル

ココロハシッテイル

走り出したいくらいの緞帳の曇り空

心は知っている

私疾走っている

2人の想いが、カーテンから覗く光のように真っ直ぐで、明るくて綺麗なことを

 

雪が降っていた。

冬の知らせを告げる初雪の候

その中に顔を綻ばせながら微笑む2人の将来に

思わず顔を覆ってしまうほどに、にやついて

二人の想いは、そうやって雪の降る季節の度に重なり合っていくんだ、そう信じている。

白痴のふりをした男は無知蒙昧の夢を視る

彼は一家の傀儡として、銀行側に選ばれた人間だった。彼は識っていた、先代の党首が血桜の秘術によって、村長の子供に乗り移ったことを。

子供の出処は識っていた。

子供の名前は自分と同列。否、それ以上。

時貞が喪われた時を放つために使う器である。

名前は特別なものでなくてはいけない。

時貞は時を定める役目を持っていた、つまり戸籍の時間をずらしていたということ。

孝三は次男なのに三番目、つまりは長田幻治を龍賀乙米と姦淫行為をさせる目的があった。

目的は成らなかった、使ったのは目だけだった。

関係性は良好だった、

…こちらが嫉妬してしまうほどに。

長女以外の娘二人は、贄として予めもうけられた娘、だから名前が生まれた時の時間。

乙米は余所者に色目を使ったから、外国のブルーフィルム、つまり懲罰として青いシャドウ、丙江は阿婆擦れよろしくそのものの象徴として化粧を濃く縁どらせ、そのように行動させるようにした。本当に酷いものだった。庚子は色なし、つまりは長田幻治とは仮面夫婦である。しかしながら、時貞はさらにより一層の禁忌を犯していた。

つまりは初潮すぐの娘と「何か」を娶せた。

それはおそらく死者の魂を移した写し身。

死者となった自分を移す移し身は、死者の魂を持っていなければならない。

それは血桜が望んだことだった。

一族繁栄の標、血を吸う千桜の幹は常に紅々としている。

あの銀行員には教えなかった、その効力は数多霊族の犠牲によって賄われていることを。

そして、その罪の重さを党首が、その重さを村が背負っていたということをついぞ、誰にも教えなかったのである。相互監視の世界、相互干渉の世界

つまりは結界によって何かを封じ込めていた世界。

水木青年はその真実を自分で掴み取った。

自分で掴み取ったからこそ、正気を保って、忘れることもしなかったのである。

水木青年は悩んだ。

幼き子の産まれが、あまりにも産まれが幽霊族の数多の犠牲によって成り立った呪いの子のように感じ取れたからである。

でも短い時の間に、水木青年は悟った。

自分は確かにあの幽霊族二人からこうした思いを託された。

その託された思いごと、この酷い世界からこの子を救うには殺すしかないとも考えた。

でもそうは出来なかった。

子供を殺すのが忍びなかったのではない。

子供をを殺してしまえば、このことを忘れてしまえば、戦争で生き抜いた自分、死んでしまった仲間たちの思いごと、無念ごと亡くしてしまうと思ったからなのだった。

 

白痴のふりをした男は、死ななければなかった。

無知蒙昧の罪は、外部にその罪を余すことなく教え、

罪をあらため、Mのために暴利を貪る悪徳企業の存在を世に知らしめるべきであった。

でもそうはしなかった。自分たちの犠牲だけで廻っていけると考えていたからであった。

無知蒙昧の夢である。結局は、Mが齎す利益に目が眩んでいたのである。

 

水木青年は子供を置いていった。

それは無責任だったからではない。

あの男の子供だから、置いていったとしてもいつか、

自分のもとを訪れて教えを請いに来るだけの才覚を持ち合わせていると識っているからなのだった。

 

オパーリンの生命のスープ

オパーリン亭でランチを召し上がれ

品数は3つ、勿論どれもとびっきり

主役は勿論ロマネスコ

フラクタル構造のニクいあいつ

1つめの料理はコバルト60でお化粧した

これ以上芽も出ない、腐らない

完璧なロマネスコ

その一房一房をぺきりと折って

一口サイズで召し上がれ

2つめの料理はなんとガム!?

化学のスープに漬け込んだ

DNAたっぷりのくっちゃくちゃなガム!

ハシで端から巻き取って口に放り込んでご覧よ

目が覚めるような刺激的な味!

最後はスープ、味付けは塩のみ?

いや、ドライトマトでもベーコンでも美味しいな

ロマネスコをさっと茹であげて

茎の部分にかけてはしっかりつぶし

上の部分はほどよく残して歯切れよく

周りの葉っぱを油でカリッと揚げ焼きすれば

クルトンみたいにサックサク

茹で汁にお好みで具を足して味を整えたら

この店一番の人気メニュー

オパーリン亭の生命のスープ

出来上がり〜〜

 

 

もちずもうざむらい

はっけよいのこったのこった

東の横綱 角餅ざむらい

西の横綱 丸餅ざむらい

あちあちの金網のうえでのしんけんしょうぶ

火かげんどうかい?ふくらんだ?ふくらんだ!

ぱちぱち爆ぜる炭の音

ぷくっと膨らんだ表面には、努力のたんこぶ見え隠れ

そこに醤油香るひでんのタレをひとたらし

あー、いやはや

焦げた傷に沁み入る秘密のあじ

じくじく滲みるが、気にしない。

焼き加減どうか?

歯切れ良い?もちもちの醤油ダレもち!

はっけよいおしりにしくのはどっちが良いかい?

海苔もきな粉もウェルカム!

はっけよいのこらんのこらん

どっちも平らげ、ああ、お腹いっぱい

多少の争いも、腹におさめりゃみなおなじ