白と灰色しろくつめたい壁の向こう側、カーテンを隔てて透明な人たちが横たわっている。静寂、ややあってパルス、また静寂。そのくりかえしーーー脆弱な、けれども静謐な不安の中で時を、ただ時を刻みつける。瞼を腫らした人たちが群れている。壁に佇む絵画…
風吹き荒ぶ煉瓦道を僕は独り歩く。身体の芯まで凍えるような風だった。行き交う人は皆俯き加減で師走間近の喧騒を引き摺った、重たい空気がそこには在った。己の吐き出した呼気が澱んだ空気をさらに、澱んだものへと変えてゆく。荒れ狂う風は、その濁った空…
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