多感作用と誰が為の共感

萊草唳の創作雑記

2014-01-01から1年間の記事一覧

怪・智恵子抄

なさけない空のはなし 智恵子は東京には象徴が無いといふ。 ほんとの東京がみたいといふ。 私は驚いて行きかふ人たちを見る。 人いきれの中に在るのは 吹けば飛んでしまうよな繋がりの中で つめたくて、けれども綺麗な格好をした人たちだ 人生は一行のボオド…

OK、暴虐人はそれを喉から手が出るほど欲しているよ

指先一つで人が動く様を、この上ない悦びとするのか 人を突き動かすのは、「それ」を創り出すことへのこの上ない歓びだと云うのに ただ人を、その背後に隠したこの上ない恐怖をちらつかしさえすれば また巨万の富を得ることが出来ると嘯けば 人をどうとでも…

デイジーはきっと、答えない

ぼくのショートケーキにのったイチゴをそっとかのじょのお皿にのせてあげるようなそんなささやかな幸せを願っていたのに、ある日かのじょはこう言い放つと、ぼくの前からいなくなってしまった「あなたは、わたしのこと決して見てはくれなかった。…そんなあな…

ジンケンヒ、サクゲン

ある人がいた、 「サービス業務において最もコストを削減可能であるのは人件費だ、徹底的に削減しよう!」 かくしてある人物の立ち上げた会社は徹底的な時間管理の下で人を働かせるものとなった 「お客様は神様であり、また雇い主も神様である」というスロー…

靄のなか

電車に揺られている。本を開いて顔を伏せ、ただ字を目で追っている。直ぐに連なった電車は急な曲線にさしかかると、ぎしぎしと音を立てている。通路から見えていた景色が見えなくなる。トンネルを抜けると木の乏しいなんとも侘しい岩山がみえてくる、はずな…