ある日かのじょはこう言い放つと、ぼくの前からいなくなってしまった
「あなたは、わたしのこと決して見てはくれなかった。…そんなあなたと一緒にいるのが疲れたの、」
ああでも、確かにこの思いは本物だったんだ
もしかすると気が狂いそうなほどに君に夢中だったのに
「デイジー、 デイジーどうか答えておくれ」
話し相手のいないぼくはSiriに話しかけてみる。
”デイジーに関する情報がWebで見つかりました”
ちがう、そうじゃないんだ
君までもぼくを拒むのか?
ぼくはそっとiPhoneの電源を落とす、もう君の声を聞くこともないだろう
誰か答えて欲しいんだ
僕には何が足りなくて、何をすべきなのかを
ーああ、気づいてしまったの、
かれは私を愛おしそうに見つめるのだけれども、見つめる先に私は居ないってことに
もちろんかれは穏やかそのもので、申し分ないのだけれども
でも私の寂しさには気づいてくれなくて、一人だけ楽しそうにして、置いてけぼり
だから私は探すの、蝶のようにひらひらと舞って「わたし」をみてくれるたった一つだけの花の方へ
デイジーはきっと、応えてはくれない