シノアリス二次創作「グレーテルくんと時間ウサギ」

「…時間!…時間!!…時間だーッッッ皆ー!起きてるかーッッッ!?!?」

クロックラビットはいつも時間に厳しい。

とは言うものの、口を酸っぱくして言い含めないと他のギルメンの出席率は半減、ギルドマスターである[時を駆ける公僕]のアリスはもう匙を投げているし、相方としてギルドの運営を担っている人魚姫は諦めムードといった面持ちで、毎日のように「哀しい…」というのが習わしになっている。

いばら姫は、「あと五分…」と言いながら、なんだかんだ理由をつけては寝落ちをするのだが、最後の5分だけ本気を出してギルドの勝利に貢献したりなどするので、解雇を言い渡すのも難しい。スノウは、ギルドの会話チャットに参加してるんだかしてないんだか、といった体たらくで、コロシアムチャットの時だけ、毎回ツッコミに困るシュールな一言を残してその日の会話が終わるのだった。もちろん出席の連絡なんて寄越して来ない。グレーテルは…真面目と言えば真面目だ、しかしながら、一番不可思議な奴で、まるで何かに取り憑かれたかのように几帳面な連絡を寄越してくる。連絡自体は有り難いのだが、連絡をしなかった理由までくどくどと並び立てて謝るのだった、正直、煩わしい。

そんなある日、事件が起きた。

ホワイトデーのさなか、突然、グレーテルがグレーテルくんになったのだ。

青天の霹靂だった。グレーテルくんになったグレーテルは、あれから打って変わって、適切な時に、適切な連絡しか寄越してこないようになった。どうしてグレーテルがグレーテルくんになったのか、本人に問い合わせると、理想のお兄様を追い求めるあまり、じゃあ自分が理想のお兄様を演じればいいんじゃないかと思い至ったので、今ではそうしているのだという話だった。有り難くはある、…だがしかしそれで良いのだろうか?アリスに聞いてみる。

「本人がそれでいいと思うのなら良いんじゃないの」

…出た!ザ·放任発言!実質管理しているのは僕らなのに!またもや僕らに丸投げだ。…しかしながら管理する側から見ればまさに理想といった感じで、ほかでもない僕だけがそれに違和感を抱いているのだった。

あくる日僕はグレーテルくんになってしまったグレーテルにこう伝えるのだった。

「君が理想を演じることはひとまず置いといて、君はそれによって何を得たいのかい?」

グレーテルくんになったグレーテルはたいそう面食らったような顔になってやがて恥ずかしそうにこう告げるのだった。

「皆が皆、目的を同じくして集ってるとは限らない、でもあえて理想を示すことで何かが変わればいいと思った。…でも私が間違っていたのね」

かくして、グレーテルくんは元のグレーテルに元通り、結局ギルドの面々も特に変わったようなところは一つもない。相変わらずギルドの運営には問題が山積みだ。…でも

 

ま、いっか!!