多感作用と誰が為の共感

萊草唳の創作雑記

ほしのにんぎょひめ 10項

ぼくはまず、どちらに行けばよいのだろうと半刻ほど思索を巡らせたが

思いついたのは

より危険な方は後回し、

たったそれだけのことであった

なんとも情けない気がするけれども

これがぼくの精一杯なのであった。

鮮烈な記憶が血肉を与えられて再び息を吹き返す

感情が痛みを伴って身体に重くのしかかるのだ、耐えきれそうもない

これだけでも足元が覚束なくなるのであった。

だがこれは長い間抱え続けてきた自分への命題であり

必ず解決しなければならない問題だと

ぼくはそう思っていたのであった。

苦しみから逃れたくて感覚ごと置き去りにしてしまったから

何も出来ずにただ立ち尽くしていたかつてのぼく

ぼくはその罰を、責を受けなければならないのだと