多感作用と誰が為の共感

萊草唳の創作雑記

2012-11-04から1日間の記事一覧

ほしのにんぎょひめ 10項

ぼくはまず、どちらに行けばよいのだろうと半刻ほど思索を巡らせたが 思いついたのは より危険な方は後回し、 たったそれだけのことであった なんとも情けない気がするけれども これがぼくの精一杯なのであった。 鮮烈な記憶が血肉を与えられて再び息を吹き…

ほしのにんぎょひめ 9項

酒場の雰囲気はなごやかそのもので ぼくが図書館に所蔵されているという本に興味を持つのも当然のことだった。 だが、それらしい本は見当たらないばかりか 司書の人に聞いてみてもそのような本は存在しない、の一点張りでまともに取り合ってはくれないのだっ…